2020年からの新しい学力 / 石川一郎 を最後まで読んだ感想

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「2020年からの新しい学力 / 石川一郎」

1章から5章までを読み終えました。
私は大学で講師をしています。新しい学力を育む教育に必要なことは何か?と考えながら読みました。

はじめに、と序章を読んだ感想は下のページにあります。

誰に読んでほしい本か?

4章まで読んでようやくわかりました。この本の読み手として想定されているのは保護者です。いやー、気づかずに読み進めてしまいました。
他サイトで「中身が薄い」というような酷評を見たことがありますが、教員にとっては確かにそう感じるものかもしれません。書いてあることの根拠となる実践や論文があまり出てこず、たとえ話を多く載せることで言いたいことを何とか伝えようとしている。という印象です。

とはいえ、本書のタイトル通り、新しい学力として何が必要か。はしっかり書かれています。
新しい学習指導要領の「思考力・判断力・表現力」をどう捉えたらよいか、著者の経験を踏まえて、子供に身につけてほしいことが挙げられていますので、教員の方でも参考になると思います。

1章

学校の先生は学習指導要領という基準に従って授業内容を決定します。学習指導要領はおよそ10年に1度改訂され、2020年度から改訂された新学習指導要領の授業内容に変わっていきます。1章では、この新学習指導要領の3本柱のうち、「思考力・判断力・表現力」についての捉え方を中心に話が展開します。1章は大きく3つに分かれているようです。

前半で、「思考力・判断力・表現力」をどう捉えるべきか、首都圏模試センター考案の「思考コード」を引き合いに、新しい学力として説明されています。

中盤は「思考力・判断力・表現力」と大学入試改革について書かれています。

後半は「思考力・判断力・表現力」を新しい学力として理解できない教員の問題点が書かれているようでした。

2章

2章を一言でいえば、読解力が重要。です。思考や判断を行うためには知識が必要です。読解力が低いと正しい知識を手に入れることができません。調査の結果をもとにして読解力の重要性が書かれていますので、調査部分は教員の方も読んでプラスになることが書かれていると思います。日本では試験の得点を挙げる教育をした結果、文章題より簡単な計算問題を解かせる。先生が文章題の解説をしない。では文章題の解説をどうすれば読解力が上がるか、は本書には書かれていません。やはり保護者向けですかね。

英語圏ではランゲージアーツを教える。として、5パラグラフエッセイの手法が紹介されています。私は使ってみたいと思いましたが、本書では簡単な紹介のみですので、別の資料を見る必要があります。

3章

3章は、こんな学校に子供を預けてはだめ。というタイトルです。これまでの小中高では、大学の入学を目標にしているからダメ。みたいな内容でした。

著者と同じで私自身も新しい学力を育むことに興味があります。なので、古い学校の話が中心の3章は私にとってはあまり興味を引くところはありませんでした。

3章の後半は新しい学力を育む学校の実例が出てきます。

4章

特に保護者に読んでほしい内容ですかね。こうすれば子供の学力はのびる。というタイトルです。

子供に接するときの気持ち・心構えや視点が書かれています。具体的な実践例ではありませんが、教育の観点として著者の考える4つのポイントが書かれています。教育の観点は教員の方にも参考になりそうです。

5章

教員にとって少しは役に立つところがありそうです。新しい学力を育むために注意するポイントとして、想像力、デザイン力、自分軸という言葉が挙がっています。読んでいて、なるほどな、と思うところはいくつもありました。実践の例は書かれていませんので、自分で考えて課題の設定をしなければいけませんが、ひとまず目指すところとしてこの3つを考えてみようかなと思いました。

まとめ

というわけで、私の感想を勝手に書きましたが、この本は

  • 保護者に読んでもらいたい本
  • 新しい学力とは何かわかる本
  • 学校で子供が何を学ぶべきか、材料をくれる本

だと思いました。

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